省エネ法とは?対象企業の届出義務を解説 > 省エネ法の届出制度|書類・期限・届出先 > この記事
省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)に基づく「エネルギー使用状況届出書」は、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者が毎年度提出を求められる重要な届出書類です。本記事では、記載項目の詳細から記入例、提出先・提出期限、電子申請の具体的手順、さらによくある記載ミスと対処法まで、実務担当者がこの記事だけで作業を完了できるレベルで解説します。
この記事のポイント
- 50万円以下の罰金が科される可能性があります。
- 合計1,620キロリットルとなったため、届出が必要になったケースです。
エネルギー使用状況届出書とは何か——届出義務の対象と法的根拠
エネルギー使用状況届出書は、省エネ法第7条の規定に基づき、事業者(法人単位)が設置する全ての事業所において使用するエネルギーの合計量を報告するための書類です。具体的には、年度のエネルギー使用量の合計が原油換算で1,500キロリットル以上となる事業者は「特定事業者」として指定を受け、翌年度以降、定期報告書や中長期計画書の提出義務が発生します(出典:資源エネルギー庁「省エネ法の概要」、2025年度確認)。
この届出書は、特定事業者の指定を受ける前段階として、自社のエネルギー使用量が1,500キロリットル以上に該当するかどうかを国に届け出る役割を持ちます。新たにこの基準を超えた事業者は、該当する年度の翌年度の5月末日までに届出を行う必要があります。なお、フランチャイズチェーン事業を行う本部事業者については、加盟店のエネルギー使用量も合算して判定する「連鎖化事業者」としての届出が求められます(出典:資源エネルギー庁「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」、2025年度確認)。
届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合には、省エネ法第96条に基づき50万円以下の罰金が科される可能性があります。実務担当者は、自社が届出対象に該当するかを毎年度確認し、基準を超えた場合には速やかに届出準備に着手することが重要です。
届出書の記載項目と様式の詳細
エネルギー使用状況届出書の様式は、経済産業省令で定められた「第6号様式」を使用します。様式は資源エネルギー庁のウェブサイトからダウンロード可能です。記載項目は大きく分けて以下の通りです。
| 記載項目 | 記載内容の詳細 |
|---|---|
| 届出者情報 | 法人名称、代表者氏名、本社所在地、法人番号(13桁)、業種分類(日本標準産業分類に基づく) |
| 届出担当者情報 | 担当者氏名、所属部署、電話番号、メールアドレス |
| 事業所一覧 | エネルギーを使用する全事業所の名称、所在地、各事業所のエネルギー使用量(原油換算キロリットル) |
| エネルギー使用量合計 | 全事業所の合計エネルギー使用量(原油換算キロリットル)。燃料、電気、熱の各区分別の内訳も記載 |
| 連鎖化事業者の場合 | フランチャイズ加盟店を含む事業所情報と合算したエネルギー使用量 |
業種分類は日本標準産業分類の中分類コードを記入します。複数の業種にまたがる事業を行っている場合は、主たる業種を1つ選択して記載します。エネルギー使用量の算定にあたっては、燃料(都市ガス、LPG、重油、灯油等)、購入電力、購入蒸気・温水・冷水をそれぞれ原油換算係数を用いて換算し、合算します。換算係数は省エネ法施行規則別表に定められており、例えば電気の場合は1kWhあたり0.0258キロリットル(原油換算)です(出典:省エネ法施行規則別表第1、2025年度確認)。
記入例——実際の数値を使ったケーススタディ
ここでは、製造業を営むA社を例に具体的な記入例を示します。A社は本社工場と2つの営業所を持ち、年間のエネルギー使用量が原油換算で合計1,620キロリットルとなったため、届出が必要になったケースです。
まず届出者情報として、法人名称に「株式会社A製作所」、代表者に「代表取締役 山田太郎」、本社所在地に「東京都千代田区丸の内一丁目1番1号」、法人番号に「1234567890123」、業種分類に「26(電子部品・デバイス・電子回路製造業)」と記入します。
事業所一覧には、各拠点のエネルギー使用量を以下のように記載します。
| 事業所名 | 所在地 | エネルギー使用量(原油換算kL) |
|---|---|---|
| 本社工場 | 埼玉県川口市○○町2-3-4 | 1,450 |
| 東京営業所 | 東京都千代田区丸の内1-1-1 | 95 |
| 大阪営業所 | 大阪府大阪市北区梅田3-2-1 | 75 |
| 合計 | — | 1,620 |
エネルギー使用量の内訳としては、燃料(都市ガス・A重油)が原油換算で680キロリットル、購入電力が原油換算で920キロリットル、購入蒸気が原油換算で20キロリットルとなります。これらの合計1,620キロリットルが1,500キロリットル以上であるため、特定事業者として届出を行います。なお、テナントとしてビルに入居している営業所の場合、共用部分のエネルギーはビルオーナーが使用者となるため、自社専有部分で使用するエネルギーのみを計上する点に注意が必要です。
提出先・提出期限と提出方法
エネルギー使用状況届出書の提出先は、届出者の主たる事務所(本社)の所在地を管轄する経済産業局です。全国に8つある経済産業局(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)のうち、該当する局の省エネルギー担当課に提出します。例えば、本社が東京都に所在する場合は関東経済産業局が提出先となります(出典:資源エネルギー庁「届出・届出書の提出先一覧」、2025年度確認)。
提出期限は、エネルギー使用量が1,500キロリットル以上となった年度の翌年度の5月末日です。具体的には、2024年度(2024年4月〜2025年3月)のエネルギー使用量が基準を超えた場合、2025年5月31日が届出期限となります。5月31日が土日祝日に当たる場合は、翌営業日が期限です。
提出方法は3つあります。第一に、管轄の経済産業局窓口への持参です。第二に、郵送による提出で、届出書の正本1部と副本1部を同封し、返信用封筒(切手貼付済み)を添えて送付します。受付印が押された副本が返送されるため、これを社内で保管します。第三に、後述する電子申請システムを利用した提出方法です。近年は電子申請が推奨されており、紙での提出よりも処理が迅速に行われる傾向にあります。
電子申請(省エネ法電子報告システム)の具体的手順
経済産業省は省エネ法関連の届出について「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」を運用しています。電子申請を利用することで、郵送や持参の手間を省き、記入漏れのチェック機能を活用できます(出典:経済産業省「省エネ法定期報告書等の電子報告について」、2025年度確認)。
電子申請の手順は次の通りです。まず、EEGSのウェブサイト(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/)にアクセスし、GビズIDアカウントでログインします。GビズIDは「gBizIDプライム」または「gBizIDメンバー」が必要で、未取得の場合は事前にGビズID公式サイトから申請を行います。GビズIDプライムの発行には2〜3週間程度を要するため、届出期限から逆算して早めに取得手続きを開始する必要があります。
ログイン後、メニューから「エネルギー使用状況届出書」を選択し、画面の指示に従って各項目を入力します。事業所情報やエネルギー使用量の数値を入力すると、システムが自動的に原油換算値を計算するため、手計算による換算ミスを防止できます。全項目の入力が完了したら、入力内容確認画面で最終チェックを行い、「提出」ボタンをクリックします。提出完了後、受付番号が発行されるため、このスクリーンショットまたはPDFを保存しておくことを強く推奨します。
なお、電子申請でもExcelファイルをアップロードする形式で提出する方法があります。資源エネルギー庁のウェブサイトからExcel様式をダウンロードし、オフラインで作成した後にシステム上でアップロードする手順です。社内の複数部署からデータを集約する場合は、Excel様式をあらかじめ各部署に配布して記入してもらい、取りまとめ担当者が一括してアップロードする方法が効率的です。
よくある記載ミスと対処法
実務の現場では、エネルギー使用状況届出書の記載ミスが少なからず発生しています。経済産業局の担当者から差し戻しを受けると修正・再提出に時間がかかるため、事前にミスを防ぐことが重要です。以下に代表的なミスとその対処法を解説します。
最も多いミスは、原油換算係数の適用誤りです。電気の換算係数は1kWhあたり0.
