省エネ法とは?対象企業の届出義務を解説 > 省エネ法の届出制度|書類・期限・届出先 > この記事
省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)では、一定規模以上のエネルギーを使用する工場・事業場に対してエネルギー管理員の選任が義務付けられています。本記事では、エネルギー管理員の選任届出に必要な書類の記載項目・記入例から、講習の受講方法、届出の提出先・期限、電子申請の手順、よくある記載ミスと対処法までを網羅的に解説します。実務担当者がこの記事だけで選任届出と講習受講を完了できる内容を目指しました。
この記事のポイント
- エネルギー管理員の選任義務は、省エネ法第11条および第19条に基づき、第二種エネルギー管理指定工場等に課せられます。
エネルギー管理員の選任が必要な事業場の要件
エネルギー管理員の選任義務は、省エネ法第11条および第19条に基づき、第二種エネルギー管理指定工場等に課せられます。具体的には、年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500キロリットル以上3,000キロリットル未満の工場・事業場が第二種エネルギー管理指定工場等に該当し、エネルギー管理員を選任しなければなりません(出典:資源エネルギー庁「省エネ法の概要」、2025年度確認)。
一方、年間エネルギー使用量が原油換算3,000キロリットル以上の工場・事業場は第一種エネルギー管理指定工場等に該当し、こちらはエネルギー管理士の免状を持つエネルギー管理者の選任が必要です。エネルギー管理員とエネルギー管理者は異なる制度であるため、自社の工場・事業場がどちらに該当するかを正確に把握することが実務の出発点となります。
エネルギー使用量の算定にあたっては、電気、燃料(都市ガス、LPG、重油等)、熱供給の各エネルギーを原油換算係数を用いて合算します。算定の基準年度は前年度の実績です。新設の工場・事業場で前年度実績がない場合は、見込み使用量に基づいて判断し、経済産業局へ確認を取ることが推奨されます。
なお、指定工場等の指定は経済産業大臣が行いますが、事業者側も毎年提出する定期報告書でエネルギー使用量を報告する義務があるため、指定を待たずに自主的にエネルギー使用量を確認し、選任の準備を進めることが実務上重要です。
エネルギー管理員の資格要件と講習の受け方
エネルギー管理員に選任されるための要件は、省エネ法施行規則に定められた「エネルギー管理講習」を修了していることです。エネルギー管理士の免状を持つ者はエネルギー管理員としても選任可能ですが、免状がない場合は必ずこの講習を修了する必要があります。
エネルギー管理講習は、一般財団法人省エネルギーセンター(ECCJ)が経済産業大臣の登録を受けて実施しています。講習は「新規講習」と「資質向上講習」の2種類があり、新たにエネルギー管理員に選任される者は新規講習を受講します。資質向上講習は、すでにエネルギー管理員として選任されている者が知識を更新するための講習です(出典:一般財団法人省エネルギーセンター「エネルギー管理講習のご案内」、2025年度確認)。
新規講習は1日間の日程で実施され、受講料は税込みで7,700円です(2024年度実績、出典:省エネルギーセンター公式サイト)。講習内容はエネルギー総合管理の基礎、熱管理の基礎、電気管理の基礎の3分野で構成されています。講習終了後に修了試験は実施されず、講習を最後まで受講すれば修了証が交付されます。
受講申込みは省エネルギーセンターのウェブサイトからオンラインで行います。申込時に必要な情報は、受講者の氏名・生年月日・勤務先名称・連絡先です。開催地は全国の主要都市で年間複数回実施されていますが、定員に達すると締め切られるため、早めの申込みが必要です。近年はオンライン形式(ライブ配信)での開催も増えているため、遠方の事業者にとっても受講しやすくなっています。
選任届出書の記載項目と記入例
エネルギー管理員を選任した場合、省エネ法第13条第3項(第二種指定工場等の場合)の規定に基づき、選任届出書を所管の経済産業局長に提出しなければなりません。届出に使用する様式は「エネルギー管理員選任・解任届出書」(省エネ法施行規則様式第7)です。
届出書の主な記載項目は以下のとおりです。
| 記載項目 | 記入内容の説明 | 記入例 |
|---|---|---|
| 届出区分 | 選任または解任の該当する方を選択 | 選任 |
| 届出者の氏名・住所 | 事業者(法人の場合は代表者)の氏名および主たる事務所の所在地 | ○○株式会社 代表取締役 山田太郎 東京都千代田区○○1-2-3 |
| 工場等の名称 | エネルギー管理員を選任する工場・事業場の正式名称 | ○○株式会社 川崎工場 |
| 工場等の所在地 | 当該工場・事業場の住所 | 神奈川県川崎市川崎区○○町4-5-6 |
| 選任されたエネルギー管理員の氏名・生年月日 | 選任する者のフルネームと生年月日 | 鈴木一郎 昭和50年4月1日 |
| 選任の事由 | 新規選任、前任者の退職による交代等の理由 | 第二種エネルギー管理指定工場等の指定に伴う新規選任 |
| 選任年月日 | エネルギー管理員として選任した日付 | 令和7年4月1日 |
| 資格の種別 | エネルギー管理講習修了者またはエネルギー管理士の別 | エネルギー管理講習修了者(修了番号 第○○○号) |
届出書には、エネルギー管理講習の修了証の写しまたはエネルギー管理士免状の写しを添付します。法人の届出の場合は代表者印(法人実印)の押印が必要でしたが、2021年の規則改正により押印は原則不要となっています。ただし、提出先の経済産業局によって運用が異なる場合があるため、事前に確認することを推奨します。
提出先・提出期限と電子申請の手順
エネルギー管理員選任届出書の提出先は、当該工場・事業場の所在地を管轄する経済産業局(沖縄県の場合は内閣府沖縄総合事務局)です。本社ではなく、エネルギー管理員を選任する工場・事業場の所在地で管轄が決まる点に注意が必要です。
提出期限は、エネルギー管理員を選任した日から遅滞なく届け出ることとされています(省エネ法施行規則第15条)。「遅滞なく」という表現は法令上明確な日数を示していませんが、実務的には選任後1か月以内の届出が求められるとされており、経済産業局の窓口でもおおむね1か月以内の提出を指導しています。前任者の退職等により変更が生じた場合も同様です。
届出方法は、窓口への持参、郵送、電子申請の3通りがあります。電子申請を行う場合は、経済産業省の「省エネ法定期報告書・中長期計画書電子報告システム」ではなく、デジタル庁が運営する「e-Gov電子申請」を利用します。手順は次のとおりです。
まず、e-Govアカウントを作成し、ログインします。次に、手続検索画面で「エネルギー管理員」と検索すると、該当する届出手続が表示されます。届出様式をダウンロードして必要事項を入力し、添付書類(講習修了証の写し等)のPDFデータとともにアップロードします。申請内容の確認画面で誤りがないことを確認し、送信ボタンを押して届出を完了します。送信後はe-Govのマイページで処理状況を確認できます。
電子申請を利用する場合の注意点として、GビズIDのアカウント(gBizIDプライムまたはgBizIDメンバー)が必要となるケースがあります。GビズIDの取得には2〜3週間程度かかるため(出典:デジタル庁「GビズID公式サイト」、2025年度確認)、初めて電子申請を行う場合は早めにアカウント取得手続きを進めてください。
よくある記載ミスと対処法
エネルギー管理員の選任届出において、実務担当者が陥りやすい記載ミスと、その具体的な対処法を整理します。
最も頻度が高いミスは、工場等の名称・所在地の記載が登記簿や定期報告書と一致しないケースです。例えば、社内で「川崎第二工場」と呼んでいるにもかかわらず、定期報告書では「川崎製造所」として届け出ている場合、選任届出書にも「川崎製造所」と記載しなければなりません。不一致があると経済産業局から補正を求められ、届出の処理が遅延します。対処法として、届出書作成前に必ず直近の定期報告書の記載内容を確認してください。
次に多いのが、資格の種別と修了番号・免状番号の記載誤りです。エネルギー管理講習修了者とエネルギー管理士では法的根拠が異なるため、正確に区分して記載する必要があります。修了番号は講習修了証に記載されている番号をそのまま転記してください。番号の桁数や形式が異なる場合は記載ミスの可能性があるため、修了証原本と照合することが対処法です。
また、届出者の記載に関するミスも散見されます。法人の場合、届出者は代表取締役等の代表者名で届け出る必要があり、工場長やエネルギー管理員本人の名前で提出することはできません。代表者の変更があった
