省エネ基準とは?2025年義務化をわかり > 省エネ基準適合住宅とは?証明書の取得方法 > この記事
住宅の断熱性能を示す「断熱等級(断熱等性能等級)」は、2022年の法改正により等級5・6・7が新設され、従来の等級4は最低基準へと位置づけが変わりました。本記事では、断熱等級4から7までの違いをUA値(外皮平均熱貫流率)などの具体的数値で比較し、計算方法、適合確認の手続き、追加費用の目安、さらに住宅ローン控除や税制優遇との関連まで詳しく解説します。
この記事のポイント
- 3.3倍の断熱性能差があります。
- 約3.3倍の断熱性能差があります。
断熱等級とは何か 基本的な仕組みと法的位置づけ
断熱等級(正式名称:断熱等性能等級)は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度の評価項目の一つです。住宅の外皮(外壁・屋根・床・窓など建物の外周部分)がどの程度熱を逃がしにくいかを数値で示し、等級が高いほど断熱性能が優れていることを意味します。
2022年3月に国土交通省が品確法の告示を改正し、従来の等級1〜4に加えて等級5・6・7が新設されました(出典:国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」2022年3月)。等級5は2022年4月、等級6・7は2022年10月から施行されています。
さらに、2025年4月からは建築物省エネ法の改正により、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されました(出典:国土交通省「2025年4月(予定)から全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます」)。この省エネ基準の断熱性能は断熱等級4に相当するため、等級4は「最低限クリアすべきライン」となり、より高い性能を求めるなら等級5以上を目指す必要があります。
断熱等級の主要な評価指標は「UA値(外皮平均熱貫流率)」で、単位はW/(㎡・K)です。この値が小さいほど、外皮から逃げる熱の量が少なく、断熱性能が高いことを示します。UA値は地域区分(1地域〜8地域)ごとに基準値が異なり、北海道のような寒冷地ほど厳しい数値が設定されています。
断熱等級4・5・6・7のUA値基準を地域別に比較
断熱等級ごとのUA値基準は、日本全国を気候条件に応じて8つの地域区分に分類したうえで設定されています。以下の表は、主要な地域区分における各等級のUA値基準を一覧にしたものです。
| 地域区分 | 代表的な都市 | 等級4 UA値 |
等級5 UA値 |
等級6 UA値 |
等級7 UA値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1地域 | 旭川市 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 2地域 | 札幌市 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 3地域 | 盛岡市 | 0.56 | 0.50 | 0.28 | 0.20 |
| 4地域 | 仙台市 | 0.75 | 0.60 | 0.34 | 0.23 |
| 5地域 | つくば市 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 6地域 | 東京23区・大阪市 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 7地域 | 鹿児島市 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
(出典:国土交通省「住宅性能表示制度における断熱等性能等級の基準値」、2025年度確認)
表から分かるとおり、6地域(東京・大阪など)では等級4のUA値0.87に対し、等級7は0.26と約3.3倍の断熱性能差があります。等級5のUA値0.60はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準と同等であり、等級6はHEAT20のG2グレード、等級7はG3グレードにおおむね対応する水準です(出典:HEAT20「外皮性能グレード」、2025年度確認)。
UA値の計算方法と適合確認の手続き
UA値は「建物全体から逃げる熱量の合計」を「外皮の総面積」で割って算出します。具体的な計算式は以下のとおりです。
UA値 =ΣA×U ÷ ΣA外皮
ここで「A」は各部位の面積、「U」は各部位の熱貫流率、「ΣA外皮」は外皮の総面積を指します。外壁、屋根、床、窓・ドアなど各部位ごとに熱貫流率を算出し、面積を掛けて合計した後、外皮全体の面積で除することで、建物全体としての平均的な熱の逃げやすさを求めます(出典:国土交通省「外皮性能の計算方法」、2025年度確認)。
計算には「標準計算ルート」と「仕様基準(簡易計算)ルート」の2つの方法があります。標準計算ルートでは、建築研究所が提供する「エネルギー消費性能計算プログラム(WEBプログラム)」を使用し、各部位の断熱材の種類・厚さ、窓の仕様などを入力してUA値を算出します。仕様基準ルートは、部位ごとに定められた断熱材の厚さや窓の性能基準を満たしているかを確認する方法で、計算の手間が省ける反面、等級4相当の基準適合にしか使えない場合が多い点に注意が必要です。
2025年4月以降の省エネ基準適合義務化により、確認申請時に省エネ適合性判定(省エネ適判)または説明書類の提出が必要になりました。具体的には、床面積300㎡以上の住宅は省エネ適判が必要で、300㎡未満の小規模住宅は建築確認の審査のなかで省エネ基準への適合が確認されます(出典:国土交通省「建築物省エネ法の改正概要」、2025年度確認)。住宅性能評価機関に正式な評価を依頼する場合、設計住宅性能評価の手数料は延床面積や評価項目数によって異なりますが、一般的な戸建住宅で5万〜15万円程度が目安です。
等級ごとの断熱仕様と追加費用の目安
断熱等級を上げるには、断熱材の厚さや種類のグレードアップ、高性能窓の採用などが必要です。6地域(東京・大阪エリア)の木造軸組工法・延床面積約120㎡の戸建住宅を想定した場合、各等級で求められる代表的な仕様と追加コストの目安は以下のとおりです。
| 項目 | 等級4 | 等級5 | 等級6 | 等級7 |
|---|---|---|---|---|
| 壁断熱材(グラスウール相当厚さ) | 89mm | 105mm | 105mm+付加断熱50mm | 105mm+付加断熱100mm |
| 天井断熱材厚さ | 155mm | 200mm | 300mm | 400mm |
| 窓の仕様 | アルミ複層ガラス | アルミ樹脂複合Low-E複層 | 樹脂サッシLow-Eトリプル | 高性能樹脂サッシ
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