省エネ基準とは?2025年義務化をわかり > 省エネ基準適合住宅とは?証明書の取得方法 > この記事
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅を指し、所管行政庁から認定を受けることで住宅ローン控除の拡充や固定資産税の減額など多くの税制優遇を享受できます。2022年10月の制度改正により省エネルギー基準が必須化され、断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上が求められるようになりました。本記事では認定基準の全体像から具体的な数値、計算方法、申請手続き、費用、そして税制優遇の詳細までを網羅的に解説します。
この記事のポイント
- 27.1%を占めています(出典:国土交通省「長期優良住宅の認定実績」、2025年度確認)。
- 20%以上の削減が必要です。
- 削減を達成する水準です(出典:国土交通省「長期優良住宅認定基準の概要」、2025年度確認)。
長期優良住宅制度の概要と2022年改正のポイント
長期優良住宅制度は、2009年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づく認定制度です。住宅をスクラップ・アンド・ビルドで短期間に建て替えるのではなく、数世代にわたって長く住み続けられる住宅ストックの形成を目的としています。国土交通省によると、2023年度の新築一戸建て住宅における長期優良住宅の認定実績は約11.4万戸で、新築一戸建て全体の約27.1%を占めています(出典:国土交通省「長期優良住宅の認定実績」、2025年度確認)。
2022年10月の制度改正では大きく3つの変更がありました。第一に、省エネルギー基準が大幅に引き上げられ、ZEH水準の省エネ性能が必須となりました。改正前は断熱等性能等級4(旧省エネ基準相当)で足りていましたが、改正後は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が要求されます。第二に、共同住宅の認定基準が区分所有者単位でも申請可能になりました。第三に、既存住宅の認定制度が新たに創設され、新築時に認定を取得していなくても一定の基準を満たせば認定を受けられるようになりました。
この改正により、長期優良住宅は単に「長く使える住宅」から「長く使えて省エネ性能も高い住宅」へと位置づけが進化しています。住宅購入を検討している方にとっては、認定取得による税制優遇メリットと建築コスト増の両面を理解したうえで判断することが重要です。
認定基準の全項目と求められる等級・数値
長期優良住宅の認定を受けるには、複数の性能項目についてそれぞれ基準を満たす必要があります。一戸建て住宅の場合、主に以下の9つの認定基準が設けられています。各基準の具体的な内容と求められる等級・数値を確認していきましょう。
| 認定基準項目 | 概要 | 求められる等級・基準 |
|---|---|---|
| 劣化対策 | 構造躯体が数世代にわたり使用できること | 劣化対策等級3+追加措置 |
| 耐震性 | 極めて稀に発生する地震に対し損傷を軽減 | 耐震等級2以上または免震建築物 |
| 省エネルギー性 | 断熱性能と設備の一次エネルギー消費量 | 断熱等性能等級5以上+一次エネルギー消費量等級6以上 |
| 維持管理・更新の容易性 | 配管等の点検・補修・更新が容易であること | 維持管理対策等級3 |
| 居住環境への配慮 | 地域の居住環境の維持・向上に配慮 | 所管行政庁が定める基準 |
| 住戸面積 | 良好な居住水準を確保できる面積 | 一戸建て75㎡以上(1階の床面積40㎡以上) |
| 維持保全計画 | 定期的な点検・補修の計画策定 | 30年以上の計画、10年以内の間隔で点検 |
| 災害配慮 | 自然災害による被害の軽減に配慮 | 所管行政庁が定める基準 |
| 可変性(共同住宅のみ) | 居住者のライフスタイル変化に対応できること | 躯体天井高2,650mm以上 |
特に注目すべきは省エネルギー性の基準です。断熱等性能等級5はZEH基準相当の外皮性能を求めるもので、地域区分に応じたUA値(外皮平均熱貫流率)を満たす必要があります。また一次エネルギー消費量等級6はBEI(Building Energy Index)が0.8以下、すなわち省エネ基準の一次エネルギー消費量から20%以上の削減を達成する水準です(出典:国土交通省「長期優良住宅認定基準の概要」、2025年度確認)。
省エネ基準の計算方法とUA値・BEIの具体的な数値
長期優良住宅の省エネルギー性を評価するうえで中心となる指標が、外皮平均熱貫流率(UA値)と一次エネルギー消費量に関するBEI値です。UA値は建物の外皮(外壁・屋根・床・窓など)から逃げる熱量の平均値を示し、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。計算式は「UA値=総熱損失量(W/K)÷外皮総面積(㎡)」です。
断熱等性能等級5で求められるUA値の基準は地域区分によって異なります。日本は1地域(北海道の寒冷地域)から8地域(沖縄など)まで区分されており、各地域で求められる数値は以下のとおりです。
| 地域区分 | 代表的な都市 | 等級5 UA値基準(W/㎡K) | 参考:等級4 UA値基準(W/㎡K) |
|---|---|---|---|
| 1地域 | 旭川 | 0.40 | 0.46 |
| 2地域 | 札幌 | 0.40 | 0.46 |
| 3地域 | 盛岡 | 0.50 | 0.56 |
| 4地域 | 仙台 | 0.60 | 0.75 |
| 5地域 | つくば | 0.60 | 0.87 |
| 6地域 | 東京・大阪 | 0.60 | 0.87 |
| 7地域 | 鹿児島 | 0.60 | 0.87 |
(出典:国土交通省「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令」別表、2025年度確認)
一次エネルギー消費量の計算は、国立研究開発法人建築研究所が提供するWebプログラムを使用して行います。暖房・冷房・換気・照明・給湯・家電等のエネルギー消費量を算出し、設計値を基準値で割ったものがBEIです。長期優良住宅で求められる等級6はBEI≦0.8であり、基準一次エネルギー消費量に対して20%以上の削減が必要です。具体的には、高効率エアコンの採用、LED照明の全室導入、高効率給湯器(エコキュート等)の設置などを組み合わせることで達成を目指します。また、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)についても地域区分ごとの基準値を満たす必要があり、5〜7地域では3.0以下が求められます(出典:建築研究所「住宅の省エネルギー基準」、2025年度確認)。
認定申請の手続きと必要な費用
長期優良住宅の認定を受けるためには、着工前に所管行政庁(都道府県知事または市区町村長)に認定申請を行う必要があります。申請の流れは大きく2つのルートに分かれます。1つ目は、所管行政庁に直接申請する方法です。2つ目は、登録住宅性能評価機関で事前に技術的審査(適合証の発行)を受けたうえで所管行政庁に申請する方法です。実務上は後者のルートが一般的であり、審査期間の短縮にもつながります。