原油換算の計算方法|換算係数一覧表

省エネ法とは?対象企業の届出義務を解説 > 省エネ法の届出制度|書類・期限・届出先 > この記事

省エネ法に基づく定期報告書や中長期計画書を作成する際、すべてのエネルギー使用量を「原油換算値(キロリットル)」に統一して報告する必要があります。この原油換算の計算は、届出実務において最も頻繁に行う作業であり、換算係数の選択ミスや計算誤りが報告書の差し戻し原因の上位を占めています。本記事では、換算係数の一覧表から具体的な計算手順、書類への記入例、提出先・提出期限、電子申請の操作方法、よくある記載ミスと対処法まで、実務担当者がこの記事だけで作業を完了できるよう詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 省エネ法に基づく定期報告書や中長期計画書を作成する際、すべてのエネルギー使用量を「原油換算値(キロリットル)」に統一して報告する必要があります。

原油換算とは|省エネ法における位置づけと基本の計算式

原油換算とは、電気・ガス・石油・石炭など種類の異なるエネルギーの使用量を、共通の単位である「原油換算キロリットル(kl)」に変換する手法です。省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)では、特定事業者および特定連鎖化事業者に対し、毎年度のエネルギー使用量を原油換算で報告することを義務づけています。

基本の計算式は次のとおりです。「原油換算値(kl)= エネルギー使用量 × 換算係数(GJ/単位量)÷ 原油の発熱量(0.0258 GJ/kl の逆数)」。ただし実務上は、エネルギー使用量にGJ換算係数を乗じて熱量(GJ)を求め、その合計値を原油1キロリットルあたりの熱量38.2 GJで除算する二段階方式が標準です(出典:資源エネルギー庁「エネルギー使用量の原油換算についての考え方」、2025年度確認)。

この原油換算の対象となるエネルギーは、省エネ法施行規則別表第1に定められた燃料、熱、電気の3区分です。燃料は灯油・A重油・都市ガスなど個別の種類ごとに、熱は蒸気・温水・冷水に分けて、それぞれ固有の換算係数が設定されています。電気については、昼間・夜間の区別なく一律の換算係数が適用されます。換算係数は法改正や告示改正で変更される場合があるため、毎年度の報告前に最新の係数を確認することが重要です。

換算係数一覧表|燃料・熱・電気の係数を網羅

省エネ法施行規則別表第1に基づく主要なエネルギー種別の換算係数を以下の表にまとめます。実務で使用頻度の高いものを中心に掲載しています(出典:資源エネルギー庁「定期報告書記入要領」令和5年度版、2025年度確認)。

エネルギー種別 単位 GJ換算係数
原油 kl 38.2 GJ/kl
ガソリン kl 34.6 GJ/kl
灯油 kl 36.7 GJ/kl
軽油 kl 37.7 GJ/kl
A重油 kl 39.1 GJ/kl
B・C重油 kl 41.9 GJ/kl
液化石油ガス(LPG) t 50.8 GJ/t
都市ガス(13A) 千Nm³ 45.0 GJ/千Nm³
一般炭 t 25.7 GJ/t
蒸気(産業用) GJ 1.02 GJ/GJ
温水 GJ 1.36 GJ/GJ
冷水 GJ 1.36 GJ/GJ
買電(昼間・夜間共通) 千kWh 9.97 GJ/千kWh

都市ガスの換算係数は、ガス事業者から通知される実測発熱量がある場合、その値を優先して使用します。上記の45.0 GJ/千Nm³は標準的な13Aガスの値であり、供給ガス種が異なる場合は必ずガス事業者に確認してください。また、電気の換算係数9.97 GJ/千kWhは、令和5年度報告で適用される値です。過去に昼間9.97・夜間9.28と区分されていた時期もあるため、対象年度の係数を正確に把握する必要があります。

具体的な計算手順と記入例|定期報告書への反映方法

ここでは、ある事業所の年間エネルギー使用量を原油換算する具体例を示します。想定条件は、買電2,000千kWh、都市ガス(13A)150千Nm³、A重油80klの3種類を使用する工場です。

第一段階として、各エネルギーの熱量(GJ)を計算します。買電は2,000千kWh × 9.97 GJ/千kWh = 19,940 GJです。都市ガスは150千Nm³ × 45.0 GJ/千Nm³ = 6,750 GJです。A重油は80kl × 39.1 GJ/kl = 3,128 GJです。合計熱量は19,940 + 6,750 + 3,128 = 29,818 GJとなります。

第二段階として、合計熱量を原油換算します。29,818 GJ ÷ 38.2 GJ/kl = 780.6 kl(小数点以下第1位まで記載)。この値が定期報告書の「エネルギー使用量(原油換算値)」欄に記入する数値です。

定期報告書(様式第9)では、エネルギー種別ごとの使用量と熱量を「指定-第6表」に記入し、合計の原油換算値を「指定-第1表」の所定欄に転記します。記入時は、使用量の単位がエネルギー種別ごとに異なる(kl、千Nm³、t、千kWhなど)ため、単位の取り違えに注意が必要です。特に都市ガスをm³ではなく千Nm³で記入することを忘れるケースが多発しています。

なお、1,500kl以上の事業者は特定事業者として届出義務が生じます。上記の例では780.6klのため該当しませんが、他事業所の使用量と合算して企業全体で1,500kl以上となる場合は対象となります(出典:資源エネルギー庁「省エネ法の概要」、2025年度確認)。

届出書類の提出先・提出期限・電子申請の手順

省エネ法に基づく定期報告書と中長期計画書の提出先は、事業者の主たる事務所の所在地を管轄する経済産業局(経済産業省の地方支分部局)です。ただし、事業の所管省庁が国土交通省・総務省など経済産業省以外の場合は、当該所管省庁にも併せて提出します。例えば、運輸事業者は経済産業局と地方運輸局の両方に提出が必要です。

提出期限は、毎年度7月末日です。具体的には、前年度(4月1日〜3月31日)のエネルギー使用実績を取りまとめ、翌年度の7月31日までに提出します。7月31日が土日祝日の場合は翌営業日が期限となります。中長期計画書は定期報告書と同時に提出するのが通例です(出典:省エネ法施行規則第38条、2025年度確認)。

電子申請は「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」を使用します。手順は以下のとおりです。まず、EEGSのウェブサイト(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/)にアクセスし、事業者IDとパスワードでログインします。初回利用の場合は事前にアカウント登録が必要で、登録には2〜3週間を要するため、早めの申請が推奨されます。

ログイン後、「定期報告書作成」メニューから新規作成を選択し、画面の指示に従って事業者情報、事業所ごとのエネルギー使用量を入力します。EEGSにはGJ換算および原油換算の自動計算機能が搭載されており、エネルギー種別と使用量を入力すれば換算値が自動算出されます。ただし、自動計算結果が正しいか手計算で検算することを強く推奨します。入力完了後、「提出」ボタンを押すと電子申請が完了し、受付番号が発行されます。この受付番号は控えとして保管してください。

紙媒体での提出も依然として可能ですが、国は電子申請への移行を推進しており、EEGSの利用が事実上の標準となっています。紙で提出する場合は、正本1部と副本1部を管轄の経済産業局に郵送または持参します。

よくある記載ミス5選と対処法

定期報告書の記載ミスは、提出後に行政から差し戻し・修正指示を受ける原因となり、実務担当者の負担を増大させます。以下に、特に頻度の高い5つのミスとその対処法を解説します。

第一のミスは「都市ガスの単位間違い

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