省エネ基準とは?2025年義務化をわかり > 省エネ基準適合住宅とは?証明書の取得方法 > この記事
住宅を購入する際、親や祖父母から資金援助を受けるケースは少なくありません。通常、年間110万円を超える贈与には贈与税が課されますが、住宅取得等資金の贈与については一定額まで非課税となる特例制度が設けられています。特に省エネ基準を満たす住宅は非課税枠が大きく優遇されるため、制度の要件と手続きを正確に理解することが住宅取得コストの大幅な削減につながります。本記事では2024年〜2025年に適用される最新の制度内容を、具体的な計算例・必要書類・申請手順とともに詳しく解説します。
この記事のポイント
- 500万円までが非課税となります(出典:国税庁「No.4508」、2025年度確認)。
- 2,000万円以下であることも求められます。
- 1,500万円の贈与を受け、省エネ等住宅を購入するケースを想定します。
住宅取得等資金の贈与税非課税制度の概要
住宅取得等資金の贈与税非課税制度とは、直系尊属(父母・祖父母など)から住宅の新築・取得・増改築のための資金贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税を非課税とする特例です。この制度は租税特別措置法第70条の2に規定されており、2026年12月31日までに贈与を受けた場合が対象となります(出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」、2025年度確認)。
非課税限度額は住宅の省エネ性能によって明確に区分されています。省エネ等住宅に該当する場合は1,000万円まで、それ以外の一般住宅の場合は500万円までが非課税となります(出典:国税庁「No.4508」、2025年度確認)。この差額500万円は非常に大きく、贈与税の税率構造を踏まえると、省エネ住宅を選択するだけで数十万円から百万円以上の税負担軽減につながる可能性があります。
制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書を税務署に提出する必要があります。たとえ非課税枠の範囲内で贈与税がゼロになる場合でも、申告を行わなければ特例の適用を受けることができない点に注意が必要です。申告を怠った場合、通常の贈与税が課税される重大なリスクがあるため、期限管理は徹底してください。
省エネ等住宅の具体的な要件
非課税枠1,000万円の適用を受けるための「省エネ等住宅」には、具体的にどのような基準が求められるのでしょうか。国税庁が定める省エネ等住宅とは、以下の3つの基準のいずれかを満たす住宅を指します(出典:国税庁「No.4508」、2025年度確認)。
| 基準の種類 | 具体的な要件 |
|---|---|
| 断熱等性能等級 | 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上、または断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上 |
| 耐震等級 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物 |
| 高齢者等配慮対策等級 | 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上 |
省エネ基準に関しては、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の組み合わせで判定されます。2024年以降に建築確認を受ける新築住宅では、建築物省エネ法の改正により全ての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されているため、多くの新築住宅が少なくとも断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4を満たしています(出典:国土交通省「2025年4月からすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務付けられます」)。
ただし、中古住宅や義務化以前に建築確認を受けた住宅については、個別に性能を確認する必要があります。省エネ等住宅に該当するかどうかは、住宅性能証明書、建設住宅性能評価書、または長期優良住宅建築等計画の認定通知書などの公的書類で証明しなければなりません。購入前の段階で売主やハウスメーカーに対して、これらの書類が取得可能かどうかを必ず確認してください。
受贈者(もらう側)の適用要件
省エネ等住宅の性能基準を満たしていても、資金を受け取る側(受贈者)が一定の要件を満たさなければ非課税特例は適用されません。受贈者に求められる主な要件を正確に把握しておくことが重要です。
まず、受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であることが必要です。2022年4月の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、従来の20歳以上という要件から変更されています。また、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることも求められます。ただし、取得する住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下という、より厳しい所得要件が適用されます(出典:国税庁「No.4508」、2025年度確認)。
住宅自体にも要件があります。床面積は40㎡以上240㎡以下で、床面積の2分の1以上が居住用であることが必要です。中古住宅の場合は、1982年1月1日以後に建築された住宅(新耐震基準適合)であることが求められます。さらに、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の取得・新築をし、同日までに居住を開始しているか、遅滞なく居住する見込みであることも条件です。
配偶者の父母・祖父母からの贈与は対象外である点にも注意してください。あくまで受贈者本人の直系尊属からの贈与に限られます。義父母からの援助を受ける場合は、配偶者が受贈者となる形をとるなど、事前の資金計画の設計が必要です。
具体的な計算例で見る節税効果
制度の効果を実感するために、具体的な数値を用いた計算例を示します。30歳の会社員Aさんが、父親から住宅取得資金として1,500万円の贈与を受け、省エネ等住宅を購入するケースを想定します。
| 項目 | 省エネ等住宅の場合 | 一般住宅の場合 |
|---|---|---|
| 贈与額 | 1,500万円 | 1,500万円 |
| 住宅取得等資金の非課税枠 | 1,000万円 | 500万円 |
| 暦年課税の基礎控除 | 110万円 | 110万円 |
| 課税対象額 | 390万円 | 890万円 |
| 贈与税額(特例税率適用) | 約48.5万円 | 約131万円 |
省エネ等住宅の場合、課税対象額は1,500万円から非課税枠1,000万円と基礎控除110万円を差し引いた390万円です。直系尊属からの贈与に適用される特例税率では、390万円に対して税率15%、控除額10万円が適用され、贈与税額は390万円×15%−10万円=48.5万円となります(出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税、2025年度確認)」)。
一方、一般住宅の場合は課税対象額が890万円となり、税率30%・控除額90万円が適用されるため、890万円×30%−90万円=177万円ではなく、正確には特例税率の速算表に基づき約131万円となります。省エネ等住宅を選択することで、約82.5万円もの贈与税を節約できる計算です。
さらに、相続時精算課税制度との併用も可能です。相続時精算課税制度を選択した場合、2024年以降は基礎控除110万円に加え特別控除2,500万円が適用されるため、住宅取得等資金の非課税枠1,000万円と合わせると、最大3,610万円まで贈与税がかからない計算になります(出典:国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」、2025年度確認)。ただし、相続時精算課税制度は一度選択すると暦年課税に戻れないため、将来の相続も含めた総合的な判断が求められます。
住宅ローン控除との併用と注意点
住宅取得等資金の贈与税非課税制度は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)と併用することが可能です。ただし、併用する際には住宅ローン控除の計算基礎となる借入金残高から、贈与の非課税適用額を差し引く必要がある点に注意してください。
2024年・2025年に入居する場合の住宅ローン控除は、省エネ性能に応じて借入限度額が異なります。長期優良住宅・低炭素住宅は4,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円)、ZEH水準省エネ住宅は3,500万円(同4,500万円)、省エネ基準適合住宅は3,000万円(同4,000万円)が借入限度額です。控除率は0.7%、控除期間は新築の場合13年間となっています(出典:国土交通省「住宅ローン減税」、2025年度確認)。
例えば、4,000万円の省エネ基準適合住宅を購入し、親から1,000万円の贈与(非課税適用)を受け、残り3,000万円を住宅ローンで借り入れた場合を考えます。住宅ローン控除の対象となる借入金残高は3,000万円で、省エネ基準適合住宅の借入限度額3,000万円以内のため全額が控除対象です。年末残高が3,000万円であれば、初年度の控除額は3,000万円×0.7%=21万円となります。13年間の控除総額は借入条件によりますが、概算で200万円以上の所得税・住民税の軽減が見込めます。
贈与税非課税と住宅ローン控除を最大限活用するためには、贈与額と借入額のバランスを事前にシミュレーションすることが欠かせません。贈与額を増やしす